The candle is dying <もう少しだけ、待って>
黒の夜に何度も見たあの背中。小さく震えていて手で顔を覆っている。
それを必ず、必ず、オレに見せず一人で隠れていた。
知ってた。知ってたんだ、
オレは。
あの向日葵の笑顔は限界かのように咲かせてたこと。
それを気付かせまいとしていたこと。
本当は、おまえの全てを包み込んでしまって、震えなんか無くしてやりたかった。
けれど結局、
何も届かずに全てが終わった。
オレの前に現れた向日葵は強く笑っていた。
これが最後だった。
「・・・・・。」
目が覚める。
ただ呆然と夢の残りかすをかき集めようと努力している自分がいる。
本日は雨、
機械鎧は気怠そうに軋み、思わず顔をしかめる。
こんな日に限って見る、
あの夢。
もう何度目になるか分からない。
数えればきっと、煩悩の数より多い。
そしてオレは、必ずその夢の後に
思っても、言っても届かない本音を続ける。
君に向けて。
ただ、
変わったのは
色が錆び付いてきた事。
夢はフィルムのように見れば見るほどに劣化し、褪せていく。
背中も、手も、夜も、・・・向日葵も。
甘く切ないハニーブロンドは。遠く強いコバルトブルーは。
記憶は確実に蝕まれていく。
夢でしか逢えない鮮明な色達はオレに別れを告げようとする。
どうか、どうか、オレの焦がれた色を取らないで。
どんな大事な記憶でも薄れていくのが生きてるということだと思います。
それでも兄さんにはしがみ付いて欲しいと思ってしまったり…
映画はどうしても明るい方向にならない!!(滝汗)