リゼンブールは晴れている(鋼 エドウィン)





朝起きてもここにいるよ
だから、心配しないで



「いつまでここにいられるの?」

家事が一段落したウィンリィは、テーブルに向って座るアルフォンスの向かいに腰を下ろす。
花が咲き乱れる穏やかなリゼンブールの中の一軒、ロックベル家。
そこには里帰りしているウィンリィと、それから、体を取り戻した兄弟。

「どっか行った方がいい?」

アルフォンスは目を細め、笑いながら言う。

「いや、そうじゃないんだけど…」

ウィンリィは顔を少し伏せた。

「いや、どっか行くなら聴いておこーかな…って」

ウィンリィの表情はアルフォンスからは見えない。
ただ、彼女の睫毛がキラ…と光ったのだけが分かる。
なんとなく彼女の思ってることが分かって、手を伸ばして横髪をかきあげてみる。

「ちょ、アル?」

見ないでよ、とウィンリィは更に顔を下に向ける。

「僕らはね、ウィンリィと一緒にいたいんだ」

「へ?」

「ね、兄さん」

ウィンリィは目に少し溜まったものを気にするのも忘れて振り向いた。
アルフォンスが言ったように、入口には突っ立っているエドワードがいた。

「なんでずっとそこにいたのに何も言わないのさ」

「お前な、」

アルフォンスの言葉を無視して、エドワードはウィンリィに不躾に言う。
ブンッとウィンリィをゆび指す。

「とーぶん嫌でも一緒にいるからな!!!」

「へ?」

ウィンリィは理解が追い付かず、目を点にしている。

「…エド?」

彼女の唖然ぶりに、エドワードは顔を真っ赤にして黙る。
居所をなくした立てた指を、そのまま下ろす。

「うん、そーだね。だからね、勝手にいなくなったりしないから心配しないでってこと」

アルフォンスがフォローする。

「……」

ウィンリィが何度も瞬きをしながら、前と後ろを見ながらエド、アルと見ていく。

「………」

そしてウィンリィは笑顔に変わる。

「うんっ」




そう、今日もリゼンブールは晴れ。








フォローしないとなかなか言葉も通じない、そんな不器用さ好きです。