ノイズノアフレタマチ(D.G
過去話。ラビリーっぽい)
…ザーザー…ザー
「ここ、なんかうるさくねェ?」
ラビが派遣された街に着いた途端の一言。
「え?聞こえない!」
「リナリー、今なんて…」
「何言ってるの?ラビ??」
口の動くだけが分かる。
お互いの言葉が聞こえない。
ノイズが邪魔をする。
そう大きくはない音なのに、なぜか横にいる相手の声が分からない。
それもそのはず。
今日の派遣理由がそれだったからだ。
「周りの人の言葉が聞き取れないような音が、突然一つの街に散漫しだした。
エクソシストの能力とも考えられるため、調査せよ」
本日の派遣員はリナリー、ラビ、そしてファインダー1人。
調査自体はそこまでの苦労はないだろうと言う事で、この若い二人が仕事に慣れるために選ばれていた。
状況を把握しきれないままに、3人で寄り添う。
リナリーがどうやって話せばいいだろうと考え込んでいる間に、ラビが遠慮なしに彼女の顔を耳に近づける。
「…聞こえる?」
耳元で話しかけられてもノイズが邪魔して、少し暖かい息だけかかる。
リナリーはそれに驚き、耳をふさいで、顔を赤くする。
そして彼女は、耳元と言わず、ラビの耳に唇が触れるぐらいの近さで叫んだ。
「近いわよ!!」
ようやくこうすることで、ラビは言葉を聴くことができた。
同時に、耳を掠める口の動きがなんともくすぐったく、心臓がどきんと跳ねる。
ただ、内容に関しては反発したいもので。
「リナリーのほうが近いさー…」
聞こえないだろうと踏んで呟く。
と思った途端、リナリーが彼の頭をスコン!と叩いた。
「り、リナリー?!」
「聴こえなかったんだから、しょうがないでしょ!?」
「…て、聞こえてる…」
「…あのぅ…私が、音波が届かないような…いわゆるバリアのようなものを…張らせていただきました…」
ファインダーの彼が遠慮がちに言う。
唐突に、お互いの声が聞くことができるようになった。
「何も、あのタイミングで…」
ラビは小さくぶつぶつ言う。
「とにかく、普通に話せるようになったし、原因さがそ?」
笑顔で言うリナリーに頷くしかない二人。
それを満足そうに彼女は見て、町の中心に走っていく。
「バリアにも限界があります!待ってください!!」
と言いながら、ファインダーの彼が彼女を追いかける。
それにつられてラビが軽く舌打ちしながら二人を追いかける。
「あんなに近くまで近づかないと音が聞こえないなんて、ちょっと美味しいさ…」
と呟き、声が届くようになったのを残念なんて思ってしまった。
その時、一番前を走る彼女が少しだけまだ顔を火照らせていたのは、誰も知らない。
唐突に思いついた話です。
題名だけはずっと昔に作りました。ちょっとファインダーの位置に憧れます。