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終わりない中に、君を見つけた(D.G ラビリー)




初めて君を見た時、
泣いてたんだ。
誰かのために。

それはまるで、祈り続けるシスターのようで。



あの時のオレは何も信じないと、心に誓っていて。
だって人間は争うもんだろ?裏切るもんだろ?
それを傍で見て、
その中の当事者になりたくはなくて、
今までに描かなければならなかった文字は、記号でしかないはずなのに残酷に彩られてた。
戦いの中で許されなかった心が思っていたのは、憎しみに悲しみ。
周りから見ていればそれはあまりにも滑稽で。
観ることにさえうんざりしていた。

真新しいオレは悲観的なこの世界をぼんやりと思いながら、
きつい消毒液の匂いに軽い嫌気を覚えた。


その時、一人の女の子が振り返る。

うるんだ瞳が強くオレを刺した。
思わず身を引いてしまう。
黒くて艶やかな髪は、傷つき包帯を巻かれた身体とは真逆で。
丁度オレと一緒くらいの歳。
そんな彼女はだれよりも強く気高い眼を持っていた。
世界は彼女を中心にして回ってるみたいに感じられて。


あの時オレは、「君」という誰かに出会った。出会ってしまった。



あれから君は今までずっと変わることなく美しい瞳を持ったままに大きくなってった。
記録に残されるのはそんなことではなかったけれど、オレは見間違えるはずもなく見てる。
描かれる真実だけが歴史ではないような気がして。
迷うに至る自分。


それを知った君は、
泣いていた。

オレのために。



堪らなくて、君のいるこの世界に触れたくなった。






今、残しもしない真実の中でオレは生きることを夢見てる。












難産でした。(笑)これだけの文章なのに何回も何回もやりなおしました。
と思ったら本編でこういう過去話がちょうど出てきてびっくりしました。
ぁの話があったおかげでちゃんと終わらせられました。